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終活の「?」遺言書

平成27年1月1日の相続税の基礎控除額改正により相続は身近な話題になりました。

 

「うちには財産がないから相続争いは無縁」という考えの方もいると思いますが、相続争いは、財産といえば自宅と預金・現金だけの一般的な家庭でも増加しています。

 

主が亡くなり、しばらくすると、親類も加わってああでもないこうでもないと感情的視点だけで相続話が進み、気づけば和解できないレベルまで話がこじれてしまう。これが一般家庭での相続争いの典型的な例です。

 

相続争いと相続税がかかるほど財産がない話とは全く別の問題と考え、一般家庭でも一家の主は生前にきちんとした遺言書を書いておくことが大切、特に、親の代から住んでいていつの間にか不動産の価値が上がっていたというような方は、遺言書の作成は絶対にしておいた方がいいでしょう。

 

遺言書には、自筆証書遺言公正証書遺言秘密証書遺言の3種類あります。

 

まず、自筆証書遺言ですが、作成キットも販売されていて書き方の説明資料もあるので費用負担も少なく作成できます。ただ、作成した遺言書をどう管理するかが課題。また、改ざん・隠匿・廃棄なども心配です。自筆証書遺言を作成する方は、そうした点も考慮しておく必要があります。

 

次に、公正証書遺言ですが、費用はかかるものの3種類の遺言書の中では、保管・効力・改ざん防止などを考えるともっとも合理的な遺言書だと思われます。

 

ただ、公正証書遺言も過去の裁判事例では裁判所でその有効性が否認されてしまったケースもあり注意が必要です。具体的には、公正証書遺言を作成した時に被相続人(=亡くなった方)が認知症等で判断能力を欠いていた場合などです。

 

つまり、遺産配分をめぐり不満がある方が「公正証書遺言作成時に本人は認知機能が低下していたからその遺言は無効」という主張をすることがあるということです。

 

まさか自分の家族は少しの預金と自宅だけの財産で相続争いはしないだろうということではなく、遺す財産が少しでもあれば、自分できちんと判断ができるうちに自筆証書遺言もしくは公正証書遺言で家族にもめごとを生じさせない相続対策をしておくことが賢明といえます。

 

最後に、秘密証書遺言ですが保管が自分自身(=被相続人=亡くなる方)であるため紛失リスクがあり、同程度の費用のかかる公正証書遺言と比べても使い勝手はいまひとつ、ほとんど使われていません。

 

また、エンディングノートには法的有効性はないとされていますが、今後、財産分与について被相続人(=亡くなった方)がどのように考えていたのかを判断する上で、エンディングノートも裁判官が参考にする可能性があります。例えば、エンディングノートには配偶者に全財産を残すとしておきながら、実際の遺言書では、配偶者には遺留分のみとするなどということになっていると争いの元です。

 

エンディングノートと遺言書に異なる配分を記載するのはさけて、必ずエンディングノートと遺言書の配分比率は一致させておく方がいいでしょう。別の方法としては、例えば、エンディングノートには「尚、相続の配分については公正証書遺言を作成しそれにより配分する」というように明確に記載しておけば混乱は防げます。(但し、公正証書遺言が未作成のままで万一のことがあると法定相続になります)

(終活人は、終活とライフスタイルの研究するプライベートラボラトリー、研究テーマは、終活と住まい 家族信託 相続 老後のライフプラン 終活とIoT です)

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