終活の「?」売れない自宅

「なあ、退職したら家を売って田舎に住まないか」「そうね、そういうのもいいかもね」退職を1年後に控えた夫婦の何気ない会話、終活に関心のある世代ではよくあるやり取りなのかもしれません。

 

でも、自分の家を売ることができないケースが稀にあるので注意が必要、ここでは売るに売れない自宅の話題です。

 

実際にあったケースを2つほど紹介します。

 

その1.市街化調整区域内で許可を受けずに建てた自宅の例

 その不動産は、都心から1時間くらいのところにある家、「家を売りたいんだけど、いくらで売れるかな?」という相談。こうした相談を受けると不動産会社の担当者は調査をします。調査は、市役所(都市計画、道路の幅員、上下水などのインフラ、建築基準法上の調査など)や法務局、ガス会社、そして現地、近隣などです。通常は、まず、現地をみて道路と敷地との関係を確認、周りの環境なども確認、それから関係する役所周りをするわけです。

 まず、現地、幅員6mの道路、敷地も道路と10m以上接しているかなり大きい敷地とかなり大きい家です。現地を見る限り問題はなさそうです。また、道路の給排水、ガスも都市ガス、周りにも一戸建てがあり、一見、普通の住宅地です。

「問題なさそうだ。これはすぐに売れるだろう」と思って担当者は、市役所に行ってみました。ところが・・

「ダメですね。ここは許可を受けずに建てた建物なので再建築できません」と市役所の担当者。

このケースでは、市街化調整区域という建物を建てる時に許可を受ける必要のある区域内ですが、その許可を受けずに建てられた建物のため、役所からみると違法建築物、役所は違法建築物に対しては厳しく、このケースでは、再建築にあたり市街化調整区域内での再建築の許可出さないという物件、金融機関もこうした物件には融資をしてくれないため買い手がつかないことになります。

 所有権を売ることは法律的にはできるけれど、買う人を見つけることは難しく、売るに売れない自宅。自宅売却をあきらめた建物所有者のライフプランは大きく狂いました。

 

その2.市街化区域内の1cm足りない自宅の例

 「私の家、やっぱり売れないのでしょうか?」と憔悴しきった顔の人。聞けば、実家のある田舎に帰ろうと実家近くの土地を買い、家の建築費は、自宅を売って捻出しようと不動産会社に出向いたものの「おたくの家、売れないですよ。売却できないです」と言われたとのこと。「本当なのか?」と思って、別の不動産会社に相談聞いてみようと訪れたそうです。「それじゃ、とりあえず自宅を見せてください」と言って一緒に行くと理由はすぐにわかりました。

 その家は、道路からひとつ奥にある土地に建つ家です。こうした土地を旗竿地とか敷地延長(通称「しきえん物件」)とか言いどこにでもある土地です。こうした土地は、建物を建てる際、道路と敷地の入り口の部分が2m以上道路に接していないといけないとされ、1㍉たりなくてもダメです。

 メジャーを取り出し、なんども測ってみましたが、1m99cm、敷地の両隣との境界線が明確なので、結局、1cm足りな状態。「おたくの家、売れないですよ。売却できないです」と言った不動産会社の担当者は、「ここは本来2m、道路と接していなければいけない部分ですが、この土地は1cmたりません。すると土地の利用価値・商品価値が著しく低下、買い手を見つけることは難しい」というような説明があればわざわざ他をあたることもなかったのでしょう。

 

このように、いざとなったら売るに売れない自宅や売れても低い金額になってしまう自宅は確かに存在します。「なあ、退職したら家を売って田舎に住まないか」「そうね、そういうのもいいかもね」というような考えがある人は、すぐに売る・売らないは別として、売却上の問題がないかどうか、早めに確認をしておくことが大切です。

(終活人は、終活とライフスタイルの研究するプライベートラボラトリー、研究テーマは、終活と住まい 家族信託 相続 老後のライフプラン 終活とIoT です)

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